#7よこはま動物園ズーラシアに行くなら「朝イチ」
国内最大級の動物園「よこはま動物園ズーラシア」。世界旅行をしている気分になれる広大な園内は、じっくり見たら一日じゃ足りないほど! そんなズーラシアのオススメの楽しみ方を、広報さんに教えてもらいました!
国内最大級の動物園「よこはま動物園ズーラシア」
まるで現地を彷彿させる完成度の高い園内に感動!
広報さんがお勧めするイチ押しの楽しみ方とは?
横浜や神奈川の魅力にスポットをあてるこの企画、今回伺ったのは神奈川県横浜市旭区にある『よこはま動物園ズーラシア』。
国内でも最新の展示方式を積極的に取り入れることで知られており、その工夫の数々から生まれる現地さながらの臨場感は来る人を虜にして止みません。
なかでも「アフリカのサバンナ」ゾーンでの混合展示や、知る人ぞ知る珍獣“オカピ”に出会える体験は欠かせない魅力のひとつとなっています。
今回は、「よこはま動物園ズーラシア」の魅力を、全3回にわたってみなさまにお送りしていきたいと思います。
ここで伝えきれない魅力は、これをきっかけにみなさまが実際にその目で見て感じてきていただけたら良いな、と思っています。
1999年に“横浜動物の森公園”内に第1次開園したズーラシアはその後も積極的にエリアを拡大、2015年には遂に最新ゾーンの「アフリカのサバンナ」が全面開園しました。
また、それ以外には夏休みの時期に夜の動物園を見学できる「ナイトズーラシア」を開催するなど、これまでにも斬新な展示や企画によって訪れるファン達の心を掴んできました。
「動物園(ZOO)」と広大な自然をイメージした「ユーラシア(EURASIA)」をミックスした『ズーラシア(ZOORASIA)』
その名のとおり、同園の敷地面積は東京ドーム約10個分!
そんな広大な敷地内に大小様々な希少動物たちが暮らしているわけですから、さすがに広すぎて広すぎて、どこからどうやって回ればいいのやら……と悩んでしまう方もいらっしゃるかもしれません。
ということで今回は特別に、ズーラシアの広報を務める上田佳世さんに“園内を120%堪能できるオススメの楽しみ方”について、なんと一日かけて(本当にありがとうございました)レクチャーをしていただきました。
知ってた? 動物たちが活発な時間帯って実は・・・
ズーラシアには初めて来たんですが、こんなに広いんですね! びっくりしました。
そうですね、東京ドーム10個分の広さに約110種類の動物が暮らしています。
東京ドーム10個分……! それって、1日で回りきれるんですか?
ゆっくり見ていると、おそらく回りきれないですね(笑)。なので、前もって気になる動物をズーラシアのホームページや園内マップで決めておくことをオススメします。「飼育係のとっておきタイム」という、飼育担当者の話を聞きながら動物の面白さを実感できるイベントも毎日行っているので、その時間のチェックも必須ですね。
「園内を回る前から勝負は始まっている」ということですね!
そこまでは言いませんが(笑)、でも本当に重要なポイントです。
ところで坂井さん、動物の“活発な様子を見やすい時間帯”ってご存知ですか?
動物って夜行性のイメージがあるから、まさか閉園後とか……?
いいえ、実は“朝の一番早い”時間帯なんです。部屋から運動場へ出たばかりの動物たちはすごく元気で、活発に動き回っている様子を見ることができるんですよ。
それは知りませんでした! 園内の動物たちって、いつも丸まって寝ているイメージがあるので……。
そんなこともないんです(笑)。
なので、まずは朝いちばんに好きな動物のところに行って、その後に飼育員から“動物のとっておきの話”が聞ける「飼育係のとっておきタイム」に向かうのがオススメです。
では早起き必須ですね!
それだけの価値は十分にあると思います!朝早くの時間帯はお客さまも少なくて静かなので、ゆっくり動物たちを見ることができますし、どこか遠くの国に来たかのような感覚を味わうことだって出来るんです。
たしかに! 都心近くで、こんなに非日常を味わえる空間なんて中々ないかもしれないですね。
朝の穏やかな風を感じながら、世界各地のエリアを再現した、まだ人の少ない園内を歩くのはとても幻想的でヒーリング効果も高そうです。
多彩な動物体験から美味しいフードまで大充実!
広くて開放的なズーラシアなら晴れた日に来てお弁当を食べるのも気持ちよさそうですよね。
そうですね、四季折々の自然に触れながらピクニックするのはとても楽しいと思います。でも私としては、園内のレストランで、そのエリアにちなんだメニューを味わう経験なんかもぜひしていただきたいと思っています。
ズーラシアならではの美味しいご飯があるんですか!?
例えば、アフリカのサバンナゾーンにある<サバンナテラス>のムアンバライスは、世界美食ランキングにも選ばれたことがあるアフリカ料理。ご飯の上に煮込んだ野菜と肉がゴロゴロ乗っていて、味のベースはトマトカレーのような感じですね。他にも、オセアニアの草原ゾーンにある<オージーヒルグリルレストラン>のオージービーフステーキなど、その地域に合わせたフードを提供しているんです。
美味しそう……お話を聞いているだけでお腹が空いてきました(笑)。
▲これが上田さんがお勧めしてくれたムアンバライス!
お昼の時にスタッフ一同で食べましたが、上田さんの言うとおり量はかなりボリューミー。お味のほうもまろやかで美味しく、これなら辛いものが苦手な方やお子さんでも大丈夫そうです。
動物園は楽しみながら学べるところ
フードの他にも「これは欠かせない!」という楽しみ方はありますか?
動物との触れ合いも、お時間が許せば体験していただきたいですね。モルモットやパンダマウスと触れ合うことができるほか、馬の餌やりや、ラクダに乗ることもできます。
ラクダに乗れるんですか!?
ラクダのぬくもりを直に感じることができますし、コブの感触なども面白いですよ。国内で体験できるところは少ないのでオススメですね。
動物もたくさんいて、美味しいご飯があって、体験スポットもあって……。これは本当に1日じゃ楽しみつくせないですね!
はい、なのでより多くの方に何度もズーラシアに足を運んでもらって、思う存分楽しんでいただきたいという思いから年間パスポートのご用意もさせて頂いています。
そんなシステムがあるんですか?
金沢動物園との共通年間パスポートで、18歳以上の方に限りますが2,000円で購入できて1年間有効です。
お散歩代わりに遊びに来てくださったりするお客様もいますし、野生に近い動物の生態をカメラに収めようと立派な機材を携えていらっしゃるお客様や、お気に入りの動物を見つけては一日中そこで観察されていくお客様など、楽しみ方も広がると思います。
確かに何度来ても飽きないですし、楽しみ方を無限に見つけられそうな感じはしますよね。インスタ映えする写真がたくさん撮れそうだし、若い人とかにもニーズが高そう!!
そうですね! でも、動物園って“楽しい”っていうのはもちろんのことなのですが、それだけじゃない魅力もあるんですよ。
たとえば??
当園の園長もよく「動物園は楽しみながら学べるところ」と言っていて、これは私自身が“動物園で働きたい”と思えたきっかけの考え方でもあるんですが。
ズーラシアの職員は、動物たちの“より自然に近い生き生きとした姿”をお客様に見てもらうために日々試行錯誤を繰り返しています。
そしてその背景には、みなさまが自然に近い状態の動物たちに興味を持ってもらうことで、その動物たちが暮らしている野生の環境ではどのようなことが起きているのかを身近に感じてもらうきっかけになって欲しい、という“想い”がベースにあったりもするんです。
もちろん最初は「わぁ、かわいい!」「すごい! 大きい!」といった驚きや感動から動物たちへの親しみを持ってもらえればと思います。しかし、そこからその動物たちが野生で暮らしている環境を想像してもらうことで、実は目の前にいる動物たちが今まさに絶滅の危機にさらされていて、それが実は人間の手によって起こされていることもあるということに気づいていただきたいです。そしてみなさまのそんな“小さな気付き”からでも実は変えられる未来があるということを、少しでも考えていただける“きっかけ”に繋がれば私たちもすごく嬉しいです。
そしていつかは動物園が、野生動物や地球環境について多くの人が考え始められる“窓口”のような存在になれたらいいな、と思ってこの仕事に取り組んでいます。
なるほど……! 上田さんやスタッフのみなさんの想いを伺っていたら、私もますます年間パスポートが欲しくなってきました。より自然に近い形を再現するために追求されてできた魅力の数々は、そんな根底にある想いからきている賜物だったんですね。
いざズーラシアを巡る! 上田さんオススメの楽しみ方を実践
ということで、上田さんと一緒に園内を巡っていきましょう!まずは開園時間と同時に、正門から一番奥のゾーン「アフリカのサバンナ」へ直行。上田さんに解説していただきながら、動物たちの様子をじっくり観察していきます。
キリンたちは、ちょうど朝ごはんを食べていたところだったようですね。高い木に設置された餌籠へ長い首を伸ばして食事する姿は、サバンナでの日常を彷彿とさせます。
こちらのキリン、とても体が大きかったのですが実はまだまだ子どもだというから驚き。これから成長するにつれて、ますます迫力を味わうことができそうですね。
凛々しいチーターに手を振り続けていると、こちらに気づいてくれました! 檻がないからこそ、周囲の動きを常に意識しているのかもしれません。
想像していた以上に頭が小さくて、とってもスリムな体つきをしているチーター。“とにかく速く走る”という点に特化した進化からも、生命の凄さみたいなものを感じることができました。
それにしても、同じ敷地内にチーターと草食動物が一緒にいるのは不思議な感覚ですよね。じっとシマウマを見つめていましたが、もしかしたら「隙あらば……」と狙っていたのかも?(笑)
(実際にはチーターが自分より大きい動物を獲物として倒すことはないそうです)
そしてすぐ近くにはシマウマが。一般的な動物園と同じくらいの距離感でも、檻がないというだけでこんなにも間近に感じられるんですね。縞模様の構造が視認できるぐらいの近さにとても興奮しました。
スローなイメージがあるサイですが、午前中は元気満タンです! 葉っぱだけでなく、枝までボリボリ食べている感じがとってもダイナミック。まるで野生の動物たちと同じ空気を吸ってそこにいるかのような感覚が本当に不思議な感じで、終始感動しっぱなしでした。
動物たち以外にも、園内には至るところに現地を彷彿させるような演出が。
上田さんが教えてくれたのですが、ズーラシアの各ゾーンではそこの環境や住んでいる人たちの生活や文化を連想させるような装飾/演出がいたるところに施されているとのこと。
こういった細部へのこだわりが「ズーラシアを一周すると世界を一周した気分になる!」と言われている所以なんでしょうね。
では、次のゾーンへ向かってみましょう!
続いてやってきたのは「亜寒帯の森」ゾーン。動物園では巨体を持て余し気味なイメージのホッキョクグマも、ここでは活発に動き回っています。それにしても、本当に大きいぬいぐるみが歩いているようで可愛いですね!
ホッキョクグマが元気いっぱいの活発な姿を見せてくれたのも、朝早くにこうやって巡ることができたからこその特権っていうことですね!
ペンギンも心なしかテンションが高め。なんだかキョロキョロしているような動きは、ごはんのお魚を探していたのかな?
かわいいカワウソにみんな夢中!「飼育係のとっておきタイム」でユーラシアカワウソについて学ぼう
これほどに動物たちが元気に動き回っている姿を見たのは初めてのことで、それだけでも今まで見た動物園での体験とはまた格別で、朝一の動物園がすっかり大好きになっちゃいました……!
さて、お目当ての動物たちを堪能したら、続いて目指すは「飼育係のとっておきタイム」。今回はユーラシアカワウソを上田さんからお勧めされて見ることに。
(※季節によって動物種や時間は変わります)
カワウソのとっておきタイムでは、飼育員さんがエサをあげながらカワウソの豆知識を教えてくれます。食事している様子を間近で見るのは初めてなので、ちょっとワクワク……!
肝心のカワウソたちはどこに……? と探していると、ごはんタイムに釣られて倒木の下から出てきました。カワウソは南極・北極のような極地を除く全世界に棲んでおり、このユーラシアカワウソはユーラシア大陸に広く分布しているんだとか。なお、エサを獲るとき以外は基本的に陸上で生活しているそうです。
この展示場も、実際にカワウソたちが暮らしている環境を忠実に再現しているとのこと。自然に近い環境で、より実際の生態に近い姿を見せてくれます。
「ごはんの時間だよ~」
食事タイムでは躍動感あふれるカワウソも見ることができます。
ところでカワウソは、どうして冷たい水の中をスイスイ泳げるのでしょうか? と考えていると、飼育員さんから「毛皮が2層構造になっていて、毛の中に空気をため込むことができるんです」という解説が。活動時間帯の約8割を費やしているという毛づくろいも、自慢の毛皮をキープするためなんだとか。
ところが、その自慢の毛皮が自身の命を脅かす原因にもなっているそう。カワウソの毛皮は人間にとっても優れた防寒着になるので、かつて多くのカワウソが狩猟の対象になってしまったみたいです。国内に広く生息していたニホンカワウソが絶滅したのも、毛皮目的の乱獲が相次いだせいではないかと言われているほど……。園内で可愛い姿を振りまいてくれているカワウソたちがそんな目に合っているのだとしたら、確かに「自分達でも何か出来ることがないか?」と考えてしまいます。
今回、多くのことを上田さんに案内してもらい教えてもらう中で、知らなかったことがたくさんあり過ぎて、「こんなにも大切なことを今まで知らなかったんだ……」という思いが胸にこみ上げてくるとともに、もっと動物たちのことを知りたいし人間と動物の両方が豊かに暮らせる社会について考えさせられるきっかけにもなりました。
今回は第1回目ということで、上田さんからレクチャーしていただいた“ズーラシアを120%楽しむ方法”をお送りしてまいりました。
「早い時間帯が狙い目」というシンプルかつ納得の鉄則も、自然に近い環境で展示されている動物たちから感じられる、学べるさまざまなことも含めて色々参考になったのではないかと思います。
そして言わずもがな、これら全てにおける高いクオリティーが飼育員さんたちの日々の絶え間ない努力の積み重ねの先にあるのだ!と、しみじみと感じさせられた回でした……。
さて、次回は最新ゾーンの<アフリカのサバンナ>にて、ズーラシアを語る上で欠かせない“混合展示の秘密”をお届けします! 実際、肉食動物と草食動物が同じ空間に暮らしている様子はかなり衝撃的でしたが、そんな混合展示の見どころから意外な生態まで、担当飼育員さんにたっぷりとお話を伺ってきました。もちろん迫力満点の大型動物たちも登場するので、乞うご期待!!
※掲載内容は2017年12月時点での情報です。