#13金沢動物園 -四季折々の自然と楽しむ-
四季折々の自然と世界の希少草食動物が楽しめる金沢動物園。
ご家族連れでの行楽日和のお出かけにぴったりの楽しみ方の数々から、動物園の”裏側”まで、スタッフの方に教えてもらいました。
四季折々の自然と世界の希少草食動物が楽しめる!
金沢動物園の見どころから“動物園の裏側”までを徹底インタビュー
横浜市南部の豊かな自然の中にあり、世界の希少草食動物を中心に飼育している金沢動物園。
動物を生息地別にアメリカ区・ユーラシア区・オセアニア区・アフリカ区の4大陸エリアに分けて展示し、より身近に動物たちと触れ合うための工夫がたくさんなされています。
今回はそんな金沢動物園の魅力を、同園の広報担当・高橋麻耶(たかはし まや)さんにレクチャーしていただきました。見どころは利用目的や季節によって様々。金沢動物園ならではの楽しみ方を知っていただき、訪れた際には思いっきり満喫していただければと思います。
そして今回、普段なかなか知ることができない“動物園の裏側”についても、興味深いお話を伺うことができたので、ぜひ最後までご覧ください!
写真右:金沢動物園 広報担当・高橋麻耶さん
写真左:聞き手 宋さん
ここがすごいぞ! 金沢動物園
まずは、金沢動物園に来たらぜひ味わって欲しい3つの推しポイントをご紹介。
1.ここでしか味わえない、四季折々の自然と動物のコラボレーション!
自然豊かな金沢動物園では、植物鑑賞やハイキングも楽しめるため、ファミリー層やシニア層にも人気が高いのだとか。
「春には13種類の桜や菜の花、梅雨の季節は紫陽花、6月下旬には山百合といった四季折々の植物が動物と一緒に楽しめるというのが、金沢動物園の強みです。また、園内でピクニックもできるので、カンガルーを見ながらランチをしたり、春にはゾウを見ながらお花見を楽しんだり、ということもできるんですよ」と、高橋さん。
そのほか、夏にはナイトズーが開催されたり展望台から花火が見えたり、秋には紅葉狩りができたりと、1年を通して見どころが盛りだくさん!
筆者ももう少し暖かい季節になれば、お弁当持参で動物を眺めながらのピクニックにも挑戦してみたいと思いました!
「春祭りや夏祭り、秋の文化祭、バレンタインイベントなど、独自のイベントも常に企画されているので、公式サイトなどでチェックしていただければ幸いです」(高橋さん)
2.見逃し厳禁の人気者たち! 元気な姿を見たいなら午前中に行くべし
「コアラ、ゾウ、カンガルーは金沢動物園の三大スターです。コアラが見られるのは神奈川県内でここだけですし、コアラのランチタイムはぜひご覧いただきたいですね。また、大迫力のインドゾウのシャワータイム、たくさんのカンガルーを間近で見られるウォークスルー形式の展示場、そして昨年12月に来園したカピバラの打たせ湯もぜひお見逃しなく!」(高橋さん)
取材日、あいにくコアラはお休み中……でしたが、インドゾウの人気者・ボン君の迫力あるシャワーシーンには圧倒され、カンガルーやカピバラの可愛さに癒されました。大人でも(取材でも)思わず時間を忘れてしまう魅力、ぜひ味わってください。
なお、元気に動いている動物が見たいという方は開園時間直後に見て回るのがオススメだそう。
高橋さん曰く「開園時間直後は運動場に出たばかりで動物たちの活発な姿を多く見られる時間帯です。日中はお昼寝、夕方になるとお家に入りたいとソワソワしている動物が多くなりますね(笑)」とのこと。
3. アスレチックにBBQ! 家族の思い出作りに最適なアクティビティも
併設された自然公園では、全長100メートルのローラー滑り台を目玉とするアスレチックやバーベキュー(利用期間は3〜11月)も楽しめます。お花見シーズンには、桜を見ながらバーベキューを楽しむことができるそう。家族連れが1日がかりで楽しめるアクティビティの数々は、気候の良くなるこれからの時期が狙い目ですよ!
「動物だけでなく、自然や植物を楽しみに来られる方も多いですよ。また、眺望の良い高台に位置しているので、初日の出を見に来る方もいらっしゃいます」(高橋さん)
高台からは海や遠くの建物も見渡せて気持ちが良かったです。自然に恵まれた近隣の風景を存分に楽しめるのも金沢動物園の魅力ですね!
ここからは高橋さんに、金沢動物園の歴史や魅力、そして動物飼育の大変さなど“裏側”の部分についてもお話を伺いました。
猛獣のいない動物園! 草食動物しか飼育しない理由とは?
まず、金沢動物園の沿革について教えていただけますか?
金沢動物園は、1982年に野毛山動物園の分園としてできた施設で、大型の希少草食動物を飼育するというコンセプトで開園しました。最初は、オオツノヒツジなど3種10頭の動物と職員5名という、とても小規模なものでスタートしたんです。ちなみに、オオツノヒツジは金沢動物園のシンボルマークにもなっているんですよ。
それから徐々に動物も増えてエリアも拡大し、現在と同じ規模になった1989年に完成記念式典を開催しました。近隣の方々と協議する中で「猛獣は飼育しない」というお約束のもとにオープンしたのですが、全国でもここまで草食動物に特化している動物園は少ないと思います。
柵がないので視界良好! 草食動物たちのマニアックな楽しみ方とは?
金沢動物園が力を入れている部分はどんなところですか?
「無柵式」といって、人と動物の間にお堀を作るなどすることで、柵を設けないようにしているんですよ。できるだけお客様の視界を遮らない状態で飼育する、という目的のためです。
確かに撮影していても、柵がないのでより迫力のある写真を撮ることができました。ちなみに、高橋さん的動物の見どころがあれば教えてください!
草食動物の中にも色々な種類がいるんだっていう、少々マニアックに絞り込んだ見方ができるのも金沢動物園ならではです。そこから見える深い世界って、実はとても面白いんです。例えば、動物のツノには5つの種類があって、シカのタイプ、ウシのタイプ、サイのタイプ、キリンのタイプ、プロングホーンのタイプがあるんですが、日本でこの全種類のタイプのツノが見られるのはここだけ。……というのが最近まで自慢だったんですが、残念ながら昨年プロングホーンが死んでしまって、現在日本でこれら全種類のツノが見られるところはなくなってしまいました。
プロングホーンが見られなくなってしまったのは残念ですが、ツノに注目した見方、かなりマニアックで興味深いですね! ちなみにスタッフの皆さんも、高橋さんのように動物にお詳しいんですか?
いえいえ!(笑)。飼育員の中には、私なんか足元にも及ばないほど、圧倒的に深い知識を持った者がたくさんいますよ。他の動物園や動物の生息地にまで自腹で足を運び、観察してくる飼育員もいるほどです。現地で野生動物を観察したり、海外の文献を調べて専門家に問い合わせてみたり、少しでも良い環境で動物に過ごしてもらいたいという熱意で、みんな自主的に動いているんです。
動物園の飼育員、それは命を預かる職業
スタッフの皆さん、動物への深い愛情をお持ちなんですね。
確かに、動物への愛情を持っているスタッフは多いと思いますが、それだけではなくしっかりとした“プロ意識”を持って働いている者ばかりです。みんな、それぞれ与えられた持ち場の動物のことはもちろんですが、関連する様々な情報をとことん調べて突き詰めていくんですよ。職人気質のスタッフが多いのかもしれません。好きという感情だけでは務まらない仕事だと思います。
なるほど。きっと動物園の教育制度などもしっかりしているんでしょうね。
学歴などは関係なく、採用試験に受かりさえすれば飼育員にはなれます。ただ、そこから先がすごく大事。命を預かる仕事ですからね。どう扱うかによって動物たちの性格や行動、顔つきまで変わってきてしまうんです。
ゾウの飼育がきちんとできるようになるまでに6年かかる、というお話を伺ってびっくりしました!
ゾウに限らず、大型動物に関しては安全管理がすごく大切なんです。人身事故が発生しやすいというリスクがあるので、とても慎重に飼育しています。マニュアルもしっかりしていますし、他の動物園との情報交換など横の連携も大事にしていますよ。
人間の接し方ひとつで動物の性格や行動が変化する
事故などが起こらないように細心の注意を払っているんですね。
もちろんスタッフの努力もありますが、それだけではありません。例えばカンガルーの展示場では、お客様とカンガルーとの距離がとても近く間近で見られます。それも飼育員の努力と、お客様のマナーの賜物。カンガルーが警戒心なく近寄ってくるのは、これまでお客様がルールを守ってくださり、動物をいじめるなどしなかったから。つまり、人間の接し方が動物の行動を左右するんです。優しく温かく接することで、動物もそれに応えてくれるんですよ。
また私たちは、季節によって生じる動物たちの環境の変化にも気を遣っています。単純に寒いから暖房をつけるというのではなく、外気との気温差を大きくしないよう配慮したり、冬場や夏場に向けて動物たちの体力をつけさせたりするような、体づくりにも取り組んでいるんです。
動物園に捧げた人生
高橋さんはこの動物園に10年間勤務されているそうですが、元々は飼育員を目指していたとか?
そうなんです。畜産学科の大学を卒業して、他県の動物園を経てズーラシアに就職したんですが、嘱託職員として教育普及担当を5年間、その中で全動物のガイドも行っていました。今持っている動物知識の基礎はそこで培いましたし、「動物園が環境教育の場である」といえる、まさに最前線の現場に立たせてもらいました。
その後、金沢動物園に移ってからも引き続き教育普及を行い、怪我や病気になった野生動物の治療を行う傷病鳥獣も担当しました。これは動物の看護師さんのようなお仕事ですね。金沢動物園は立地上、海や山に生息する多種多様の鳥獣が来るので、幅広い動物のお世話をしてきました。それらを経て今、同園の広報を担当しています。
動物園の中でも色々な職種を経験しているなんて、相当のベテランなんですね。
いえいえ(笑)、もっとすごいベテラン職員もいますよ! でもよく考えてみたら私、社会人になってからの十数年間はずっと動物園勤務ですね(笑)。他で潰しが効かないんですよね(笑)。
そもそも動物園に就職したきっかけは?
小学校5年生の頃、母親が動物園の1日飼育体験に「夏休みの思い出づくりにでも」と申し込んでくれたんです。そのときは特に動物にも動物園にも興味はなかったのですが、そこで飼育管理や動物に関する知らなかったことや、観察のポイントを教えてもらえて。
動物園ってそういう動物や自然のことを教える・伝える場所なんだって幼心に感動しまして。それで将来の夢が決まったんです。
言葉なしで伝わるのが動物園の魅力
高橋さんのように、動物園に来て人生が変わったという人も実は多いのかもしれませんね。
そうであれば嬉しいですね。当園では春祭り、夏祭り、秋の文化祭など年間を通して色々なイベントを開催していますが、最近では動物と一見直接関係のないイベントも敢えて企画しています。例えば、3月に開催する春祭りでは、わくわく広場でミニ新幹線ドクターイエローの乗車体験をおこなっています。普段、鉄道は大好きだけど動物に興味のないお子さんたちがこのイベントをきっかけに動物を見て知ってくれればと思っています。新幹線の中には「はやぶさ」とか「つばめ」といった鳥の名前がついているものもあり、そこから実際の鳥の生態について学んでもらうなど、動物を知ってもらうための仕掛け作りにも金沢動物園スタッフ一丸となって取り組んでいます。
あと、バレンタインイベント(現在は終了)も開催するんですが、販売するチョコレートにはゾウにおやつをあげられる参加券を同封しているんです。3時にゾウのところに行って券を差し出すと、特別におやつをあげることができるというものです。
まるでアイドルとの握手券みたいですね!
そうですね(笑)。目の前でゾウを見る機会はあまりないので、迫力にびっくりして泣き出してしまう小さなお子さんもいたり。でも、人間と比べて圧倒的な大きさの動物がいるということを体感できる、良い機会だと思っています。間近で見る動物の大きさや迫力を、言葉なしで伝えることができるというのも動物園の魅力ですから。
また、もっと間近に見られる生き物を飼育している「身近な生き物館」というコーナーもすばらしいです。主に展示されているのは自然公園内にいる生き物たちで、横浜市内では珍しいミヤマクワガタなどの昆虫も飼育しています。横浜という都会にもこんな生き物がいるんだ! ということを知っていただけたら嬉しいですね。
実は子どもより大人の方が動物園を楽しめる!?
–動物園って、子どもにとってたくさんの発見がある貴重な場所ですよね。
そうですね、でも大人になると知的好奇心を掻き立てられる楽しみ方も分かってくるので、実はお子さんより大人の方が楽しめるんじゃないかな、と思うこともありますね。視点が子どもの頃とは変わっているし知識も増えているので、新しい発見も多いはずですし。「可愛い」とか「大きい」というだけじゃなく、生き物の持つ能力やその神秘さを知って、生き物、ひいては命の尊さにも気づけると思います。大人も子どもも存分に楽しめる場所だと思います。
確かに、その通りですね。本日は色々な発見があってすごく楽しかったです! ありがとうございました。
楽しんでいただけて良かったです。気になったことはお近くのスタッフにお気軽にお声がけください。ぜひ、また遊びにいらしてください!
動物たちがストレスなく過ごせるための工夫がいたるところでなされていて、のびのびと自由に動き回っている動物の姿が印象的でした。ゾウのそばで味わうお花見、カンガルーを眺めながらのピクニックなど、家族や友人たちと一緒に、そして自然とともに草食動物を堪能できる、アットホームな動物園だなと感じました。
そんな金沢動物園は、横浜バンクカードの提示で入園料金が20%引きになります。
(※1枚5名様まで)
ご家族で自然と触れ合うのにまさにぴったりの金沢動物園に、ぜひ横浜バンクカードと一緒にお出かけしていただければと思います。
※掲載内容は2018年3月時点での情報です。