#25四季を通じて様々な魅力がある小田原城址公園
本丸・二の丸一帯を有する広大な城址公園は、穏やかな雰囲気があり、季節ごとの彩りも様々。多くのイベントも開催され、自分の好きなタイミングで楽しむことができます。
季節ごとに花を愛で、イベントを楽しむ
前回、小田原城天守閣館長・諏訪間 順さんにお話を伺い、小田原城の歴史と魅力をご紹介しました。
天守閣ももちろん魅力的ですが、およそ11ヘクタールの広さを誇る「小田原城址公園」も、訪れるたびに悠久の歴史を感じ、季節ごとに新しい発見があります。
季節ごとに花々は彩り、イベントも多数開催されているため、自分の好みに合わせたタイミングで訪れるのも良いかもしれません。
そんな小田原城址公園を、もっと身近に、自由に楽しめる方法をご紹介します。
公園内の花や木々にも注目
ウメやツツジ、ハスの花など、城址公園では1月から秋口にかけて、花から花へバトンが渡され、いつも美しい花を愛でることができます。そして秋口以降は、園内の木々や周囲の山々が紅葉し、彩りが絶えることはありません。
中でも、サクラは「日本さくら名所100選」にも選ばれるなど有名です。園内には300本のサクラが植えられているそうです。
取材日は1月末。園内には梅が咲き始め、柔らかな香りを放ち、愛らしい花を咲かせていました。
3月中・下旬〜4月上旬にかけて、この小田原城址公園を中心に、市内各所で「小田原桜まつり」が行われます。期間中は「ぼんぼり点灯」や「稚児行列」なども行われます。お城のサクラの見所はやはりお堀端ですね。この桜まつりの期間には本丸広場のサクラもライトアップされるので、ピンク色のとても幻想的な光景が広がりますよ。
城址公園の南入口すぐの所には樹齢180年を超える見事な藤棚があり、4月末ごろから美しく揺れる薄紫色の花を咲かせます。大正天皇がご覧になった時、感嘆されたことから「御感(ぎょかん)の藤」と呼ばれるようになりました。
二の丸から本丸へ向かう道すがら、東堀に架かる常盤木橋。こちらの下の「花菖蒲園」は、5月下旬からおよそ1カ月、ハナショウブが楚々とした姿で出迎えてくれます。またお堀の斜面にはアジサイが咲くので、6月には「小田原城あじさい花菖蒲まつり」として、夜間ライトアップされるそう。初夏の青い花々の世界が広がります。
余談ですが、1971年、小柳ルミ子さんのデビュー曲「わたしの城下町」のジャケット撮影が行われたのが、この常盤木橋です。欄干にもたれかかる小柳さんが撮影されました。後ろの常盤木門の塀も写ってますよ。
見上げてしまう大きな木が多く立っているのも城址公園の魅力。中でも常盤木橋前によじれながらそびえるイヌマキは、樹齢520年以上。幹周りは4.5メートルもあります。なんでもイヌマキは200年を超えると幹がよじれてくるそう。長い年月を重ねた膨大なパワーが感じられます。
園内の巨樹として双璧をなすもう一本は、本丸でそびえます。「巨松(オオマツ)」と呼ばれていて、樹齢は450年以上。江戸時代の文献にもその姿が残っているそうです。
とことん「なりきる」アクティビティ
二の丸にある「歴史見聞館」の建物は、かつて小学校が建てられていた時の講堂(体育館)の名残。1928年に建てられた歴史的建造物です。この建物を改修し、2019年4月20日にオープン予定なのが、北条氏に仕えた「風魔忍者」を体験できる施設、「小田原城NINJA館」です。
中はからくり仕掛けになっていて、プレイヤーは正に忍者に「なりきって」体験する、というもの。これはハマってしまうお子さまも多いのではないでしょうか。また、オープンに合わせ、「忍者ウィーク」と題するイベントを企画していますので、ご期待ください。
もう一つ、常盤木門(ときわぎもん)の1階では、甲冑や打掛、忍者衣装、陣羽織が着付けられる「甲冑着付け体験」ができます。子どもにはもちろんのこと、海外からの観光客にも大人気です。
着付けをしたら皆さん、外の本丸広場で思い思いに、なりきって写真を撮っています。中には、「年賀状の写真に」と、年末、家族で訪れる人もいるそうですよ。
本丸広場にはサルがいる!
本丸広場でかつてゾウが飼われていたことをご存知でしょうか。2009年までこの本丸でお客さまをお迎えしていたそうです。その他にもアシカなども飼っていたとか。現在はサルが元気良く出迎えてくれます。
また天守閣の東側には、「こども遊園地」があります。豆汽車やバッテリーカーなどもあるので、まだ歴史はちょっと難しい小さなお子さまも楽しく遊ぶことができます。
多彩なイベントがいっぱい
いつ来ても四季折々の楽しみ方ができる小田原城址公園。時節ごとにさまざまなイベントが開催されているので、気になるものに合わせて訪れるのも、また一つの楽しみ方ですね。
2月上旬には、小田原の梅の名所として名高い「曽我梅林」が盛りに。富士山と箱根の山々を背景に、約35,000本の梅が咲き誇ります。これを機に、小田原市各所では「小田原梅まつり」を開催。小田原城址公園でも、約250本の梅が咲きます。 |
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3月末には、桜の開花時期に合わせて「小田原かまぼこ桜まつり」が開催されます。かまぼこ名人が手づくりで実演し、小田原かまぼこ伝統「板つけ」や、細工ものの技を披露します。他にも、かまぼこ板を制限時間内にどこまで高く積み上げられるかを競う「かまぼこ板一夜城合戦」、ききかま大会なども行われます。この時だけの限定品の販売もあるので見逃せませんね。 |
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毎年5月3日に行われる「小田原北條五代祭り」は、例年20万人以上の人が訪れるという、正に小田原市最大のイベントです。武者行例や鉄砲隊を中心に、市内学校の吹奏楽部・バトンチームなどの音楽隊、小田原ばやしや神輿などの町衆隊が編成され、市内を勇壮に練り歩きます。天守閣の展示映像で五代・氏直役を務める、「小田原ふるさと大使」の俳優・合田雅吏さんが、武者行列では初代・早雲役を、高嶋政伸さんが四代・北条氏政役を務めます。 |
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蛇腹式で使わない時は畳んで携帯できる「小田原ちょうちん」。この提灯をモチーフにしたイベント「小田原ちょうちん夏まつり」が7月下旬に行われます。お堀では地元小学生が作った約2,000個の小田原ちょうちんに明かりが灯され、水面に美しい光を投げかけます。城址公園内では「ちょうちん踊りコンクール」や「太鼓演奏」、「盆踊り」、街中でも「みこしパレード」なども行われます。 |
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11月3日〜中旬には「小田原城菊花展」が行われます。小田原城のミニチュアを小菊で飾った総合花壇をはじめ、小田原清香会の会員や小学生たちが丹精込めて育てた約700鉢もの懸崖・盆栽・大輪の花などを展示します。 |
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地元で生産された新鮮で安全・安心な農作物の即売会など、「小田原市農業まつり」が行われるのは11月中旬。仔牛と触れ合えるミニ牧場の設置や各種展示など、子どもから大人まで楽しめるイベントが盛りだくさんです。 |
その他、個性豊かなイベントも開催
また一昨年(2017年)は、刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞」とコラボした一夜限りのイベントを開催。なんでもチケットは瞬殺で完売したそう。当日は多くの女性が集まり、小田原城と刀剣男士の世界を堪能したそうです。検索サイトYAHOO!でもリアルタイムの検索ワードランキングが1位になったというから、すごいですね。
ちなみに2018年は小田原開府500年。そして今年2019年は小田原北条氏の初代・北条早雲の没後500年。これを記念した事業も企画されているそうです。
2019年9月20日(金)〜23日(月・祝)の期間、この小田原城本丸広場を会場に「1 minute projection mapping in ODAWARA」という、プロジェクションマッピングの世界大会を行います。お城をキャンバスにして応募された作品を投影するもので、世界中から1分~2分未満の作品を募集し、選考ファイナリストの16作品を投影する予定です。今からどんな作品が投影されるか楽しみです。
楽しそうなイベントがたくさんありますが、イベントを楽しむ上での注意点をお伺いしました。
やはり、サクラの開花時期や、「小田原北條五代祭り」が開催されるゴールデンウィーク期間中など、イベント開催時は特に、公共交通機関でお越しいただきたいですね。すぐに渋滞になってしまいますし、小田原は駐車場もあまり多くないんですよ。渋滞や駐車場探しの時間を、ぜひ花の観賞やイベントの体験に使っていただきたいですね。
人々にますます愛される空間を目指して
歴史が深く、また観光・公園施設としてもキチンと管理された小田原城と城址公園。ここまでしっかりと維持することは並々ならぬ努力が必要です。どんなことに注意し、どんな想いで管理されているのか、諏訪間さんにお伺いしました。
植栽管理について、以前、木々が鬱蒼と茂り過ぎて、城外からまったく天守閣が見えなくなってしまったことがありました。その時、思い切って伐採したことがあります。その時、色々なお声をいただきましたが、江戸期、どのようにお城が見えていたか、ということを考えると、やはり伐採することで往時の姿が蘇ったと思います。
小田原城を資産として、どのように保護し、そして未来に活用していくか、ということを常に考えていく上で、一緒に小田原城のことを考える仲間がいることは本当にありがたい。展示のリニューアルの時には他の学芸員と協力し、構成を考えましたし、小田原市観光協会の人たちと連携し、お城を守っています。こういったネットワークを築くことができたのもうれしいですね。
そして、小田原の街がますます生き生きと輝くために、こういった仲間みんなで、お城を筆頭とした歴史観光をさらに盛り立てていきたいですね。
歴史の側面をしっかりと把握し、資産を未来に、今の世に見合った形で活用していく。新しい形のイベントを企画したり、またロケの誘致に積極的だったりと、扉の開かれた観光資産として活用されていることには、そのような背景があるようです。
これからの時期、花の季節を迎え、イベントがどんどん開催されます。ぜひ潮風と歴史と自然を感じに訪れてみてください。
ご紹介した小田原城址公園は、ハマトク限定特典があります。カードをご提示いただくと、ご利用代金(入場料)が10%引きに!この機会に小田原城天守閣、小田原城址公園に足を運んでみてはいかがでしょうか。
※掲載内容は2019年3月時点での情報です。