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伝統のホテルニューグランド<スイーツ編>

#11伝統のホテルニューグランド<スイーツ編>

洋食が始まったのが横浜ならば、「洋菓子」もまた横浜から日本中に広がっていきました。
横浜が誇るクラシックホテル「ホテルニューグランド」が産んだ、どこか懐かしい甘さを持った魅惑のスイーツをご紹介します。

プリン ア ラ モードを生んだホテルニューグランドのスイーツたち〜
人気のケーキ「ラムボール」には、実はレシピが存在しなかった……!


2017年に90周年を迎えた、横浜のクラシックホテル“ホテルニューグランド”。

3回にわたって、ニューグランドで体験できる「味」に焦点を当てご紹介しています。第二回は「スイーツ編」。

>>第一回「洋食編」はこちら


写真1

ある程度の大人なら「よそいきのデザート」のイメージがある「プリン ア ラ モード」は、ホテルニューグランドが発祥。そのほか、ニューグランドから生まれた人気の洋菓子のストーリーをご紹介します。

今回教えてくれるのはパティシェの熊倉さんです。

写真2

前菜のお皿が、ハレの日スイーツに変身した「プリン ア ラ モード」


写真3

プリンにフルーツとアイスクリーム、そして生クリームが彩る「プリン ア ラ モード」。小さい頃、デパートのレストランや、ちょっと気取った喫茶店で食べたこと、ありませんか?

港町・横浜に訪れる外国人たちの“迎賓館”のような役割を担っていたニューグランド。特に戦後は、GHQの接収時代があり、多数のアメリカ人将校たちが家族とともに滞在していました。

将校たちのご夫人がたを喜ばせるために考案されたのが、当時別々で出していたアイスクリームとプリンを、前菜のイワシを盛り付けていたお皿に盛り付けたもの。またたく間に将校夫人たちの心をとらえたメニュー「プリン ア ラ モード」は、その後、日本人の間でも大人気になったそうです。

——いろんなところで「プリン ア ラ モード」を出しているのを見たことがありますが、まさにこれがオリジナル! といったルックスですね。

写真4

熊倉さん:そうですね、様々なところでニューグランドの影響を受けたプリン ア ラ モードは出されていると思います。

当時はフレッシュフルーツではなく缶詰のフルーツを使っていたのですが、フルーツは長年変わっていません。アロー型にカットしたりんご、キウイ、プルーン、チェリー……

——このりんご、「ウサギ」だと思っていましたが、アロー(矢)なんですね! 主役であるプリンもしっかりとしていて、好きです。

熊倉さん:アイスクリームとプリンのレシピは当時と同じなんですよ。

プリンは全卵を使用して、卵の量が多めになっています。低い温度で長い時間蒸し焼きにしているので、固い……とまでは言いませんが、密度のあるしっかりしたプリンに仕上がっていると思います。

とろとろしたカスタード系のプリンが流行している今では珍しいタイプのしっかりしたプリンは必食!

完成度の高さから日本中のあらゆるところに伝播した「プリン ア ラ モード」。当時から変わらぬレシピのコクのあるアイスクリームとプリンの華やかな味わいは、どれほどその時代の人を魅了したのでしょうか。

アメリカから持ち込まれた材料から生まれた「ラムボール」と「クープニューグランド」

戦後、GHQの接収時代、ホテルニューグランドには様々なアメリカの食材が持ち込まれました。

その頃に生まれてまたまた人気を博したデザートが「ラムボール」と「クープニューグランド」だったそうです。ラムボールは今も売り切れることもしばしばの人気のケーキなのですが……クープニューグランドとはなんでしょう?

——「クープニューグランド」というのは、どのようなスイーツなんでしょうか?

熊倉さん:ある日、滞在していたアメリカ人将校の夫人たちが洋梨のカンヅメを持ってきて「これで何か作って欲しい」と言ってきたそうです。

アメリカの方はチョコレートソースが好きだったことから、バニラアイスとその洋梨の半割り、チョコレートとホイップクリームで作ったソースをあしらったデザートを作ったのが「クープニューグランド」のはじまりだと言われています。

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▲クープニューグランド(※現在は不定期で期間限定メニューとして提供)

——半割りの洋梨がソースの下に隠れていて、パフェのような感じですね……クープという名前の由来はなんですか?

熊倉さん:「クープ」というのはグラスの名前です。もともとシャンパンを飲むような足つきの浅い“クープグラス”に盛り付けたことから、お客様によって「クープニューグランド」と呼ばれるようになりました。

——プリン ア ラ モード同様、あるものを組み合わせて生まれた人気メニューだったんですね。

では「ラムボール」はどのようにして生まれたのですか?

熊倉さん:戦後はアメリカから持ち込まれる食材でいろいろと工夫をしていた時代なのですが、その頃「ケーキの切り屑」がたくさんあったんですね。当時は焼き菓子やバタークリームのケーキが多く、日持ちしたので、何日か切り屑をためて作ったのが、ラムボールのはじまりでした。

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▲ラムボール

——いろんなケーキの切り屑を使うんですね。どういうレシピなんですか?

熊倉さん:実は……決まったレシピというものがないんです。

——何十年と出し続けている人気のケーキが、ですか???

熊倉さん:そうなんです。当時から切れ端のいわば“再利用”というような形で作っていたものなので、何をいくつで何をいくつ……といったような数字では残っていないんですよ。

写真7

——どのように作るんですか?

熊倉さん:切り屑を集めて成形するだけでは味が足りないので、ラム酒を入れたり、食感が足りない部分にはクッキー生地を足したり、プラリネを入れてみたりして、最終的に味見をしてから丸く成形しているんです。

——材料が一定でないから、作り方も一定にならないということですね。

熊倉さん:今も変わらず切れ端を使って作っているのですが、切り屑の量は一定しませんし、当時と比べて切り屑の「質」も変わりました。

そしてラムボールは人気の商品なので切らさないように、材料を補って作ってはいるのですが……未だにレシピ化をするのは難しいですね。

——それは代々の皆さんの「舌」によって伝えられているんですね。

熊倉さん:まあ、かっこよく言えば「味の伝承」ですね(笑)。

変な話になりますが、今ある技術や材料ならもっとおいしく……というか、流行に合うような「美味しさ」にすることはいくらでもできると思うんですよ。

写真8

でも、「伝わってきた味」というものをベースで考えているので、「これ以上はやりすぎになる」という線を自分たちの中に持っています。

決して大きくはないホテルだからこそ、そういう「レシピ化」ができない部分を、残った人が伝承していくのだと思っています。

途切れることなく伝えられてきた“奇跡”をぜひ味わって

戦後の時代に「あるもの」を組み合わせて“ホテルらしさ”を保ちながら、人気のメニューを次々と生み出してきたホテルニューグランド。

時代の変化とともに変わるもの、そして変わらないもの。

それはすべて、ここで働く「人」が繋いできたものだということが、シェフの長谷さん、パティシェの熊倉さんからお話を伺うことでより実感できたような気がします。

さて、三回にわたってお送りするホテルニューグランドの「味」。

次回は趣向を少し変えて「カクテル編」をお送りします。国内外のVIPをもてなしてきたホテルニューグランドのバーで紡がれた物語をご紹介します。

今回ご紹介したスイーツがいただけるホテルニューグランド「ザ・カフェ」は、横浜バンクカード提示でお会計が5%OFFになります。

100年もその先も伝承される「味」を、体験してみてはいかがですか?

ホテルニューグランド「コーヒーハウス ザ・カフェ」

【住  所】〒231-8520 神奈川県横浜市中区山下町10

【電話番号】045-681-1841(代)

※掲載内容は2018年3月時点での情報です。